きっと、オレは兄貴に踊らされてるんだろう。
人生の全てが、兄貴のモノと変わらない。








依存






いつだって、兄貴と同じものを好んでた。
偶然だから性質が悪い。
オレは、兄貴と同じ運命を辿っているのに、
兄貴にはおいつかない、
そんな出来損ないの存在だと思ってた。

だから、母さんも父さんも――・・・





















何て、昔は考えてた。
まぁ、確かにオレは兄貴のために作られたモノだった。
だから、好みとかも一緒だった訳だ。
ただ、同じ運命を辿ってはない。
そのおかげ、というかその所為で、こうして入院をしている。
左手は使えないうえに、眼が見えなくなる。
クローンとしての、最期を迎えてきていた。

―コンコン

突然の見舞い客。
歩けないから、確かめようがなく迎える。
「やぁ、歩。」
兄貴だった。
正直、会いたくは無かった。
「どうだ?気分は。」
「あぁ、最低だよ。誰かが来たせいでな。」
事実だったりする。
「ほう。それは、何だ。一種の反抗期か?」
「反抗だよ。正真正銘の。」
「・・・ふむ。クローンがオリジナルに反抗するか。」
「そこでその言葉を出すな。不愉快だ。」
「事実だしなぁ。」
そう言って、兄貴はオレの傍へと近づく。

―ガッ
突然、近づいてきた兄貴がオレの服を掴む。
「事実なんだ、歩。お前は、私が生きているから生きていられるんだ。私が生きていなければ、お前は今のように生きてはいないんだ。解るか?」

やめて・・

兄貴は笑みを浮かべていた。
「・・オレは望んでこんな運命を辿ってはいないんだがな。」
「しかし、お前はこんな運命を辿っていなければ存在していないんだぞ?」

お願い・・

「それぐらい知ってるさ。」
「お前は、私がいるから存在しているんだ。光と影のようにな。少しは感謝してほしいもんだな。」
「・・・・好きなヤツも守れない人生を送るんだ。どう感謝しろって言うんだ。」
「・・あぁ、お前には好きな人が居たのか。あの、おさげさんかな? もし、こう言ったらどうする?その感情さえも作られたモノだったと。お前の力を発揮できるがために、作られたモノだと。

嫌・・だよ・・

兄貴の手に力がこもる。
胸元を掴まれているから、段々と苦しくなる。
「結局、お前は誰も愛してなんかいないんだ。お前は私だけしか、受け入れられない影なんだ。」
「・・・違う・・ッ!」
「違わない。だから、お前はいつまでたっても私のことを忘れられないだろう?心も、体も。全て私を覚えているんだからな・・。」

やめて・・お兄ちゃん・・・

吐き気がしてきた。
昔の記憶が蘇る。あの、忌まわしき記憶が。
「ホラ、今だってお前には私のことしか思っていないだろう?結局は、お前は私を越えていないんだ。むしろ、求めている。」
「もう・・・ッ、やめ・・ろ・・ッ」


心も体も、兄貴を受け入れた。
滑稽な自分の姿。
憎んでいるのに、愛している。
可笑しな依存だけが、自分を支えていた。


ふと、兄貴が手を放した。
「思い出したか?」
「・・い・・や・・だ・・。」
「・・ふむ。まだ、と言う訳か。楽に受け入れれば苦しまないのにな。その辺は、まだ学習できていないようだ。」
頭が痛くなる。
眼がだんだん霞む。
もう、限界に近かった。
「・・・次は体にしようか?歩。お前の、好きだった行為だぞ?」



夜は長く、辛く、死にたくなる。
昔の過ちが思い出されて、兄貴が出てくる。
離れたくとも離れられない。
放してくれるわけもなかった。


オレは、兄貴無しでは生きていけない人生を送るしかなかった。







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石投げないで下さい(土下座
このネタを考えたのが夜ってことが悪いんです。(ぇ
微エロみたいな変な終わり方です。好みです。
清隆サンは一生、歩相手に鬼畜攻めしてりゃいいんです。まどかさんほっといて。
というか、依存してんのは清隆サンのほうだと思いましたorz